
防衛特別法人税
● 防衛特別法人税の創設
令和7年度税制改正において、我が国の安全保障を取り巻く厳しい環境を踏まえ、防衛力の技本的な強化と、それに伴い強化された防衛力を安定的に維持していくために必要な財源を確保する特別な措置として、『防衛特別法人税』が創設されました。
● 納税義務者、課税の対象
法人税の対象となる法人(人格のない社団等を含む)は、防衛特別法人税を負担する義務を有することとなりました。さらに、当分の間、法人の各課税事業年度における基準法人税額に対して、防衛特別法人税が課税されることになっています。
● 基準法人税額
基準法人税額は、次に掲げる法人税法その他の法人税に関する法令上の規定を適用せずに算出された、各事業年度の所得に対する法人税額(付帯税を除く)をいいます。
① 所得税の控除
② 外国税額の控除
③ 分配時調整外国勢相当額の控除
④ 仮装経理に基づく過大申告の場合の更生に伴う法人税額の控除
⑤ 戦略分野国内生産促進税制のうち特定産業競争力基盤強化商品に係る措置の税制控除及び同措置に係る通算法人の仮装経理に基づく過大申告の場合等の法人税額の加算
⑥ 控除対象所得税額等相当額の控除
● 課税標準、税率
防衛特別法人税の課税標準は、各課税事業年度における課税標準法人税額です。課税標準法人税額とは、基準法人税額から年500万円の基礎控除を差し引いた金額です。この課税標準法人税額に、税率4%をかけて、防衛特別法人税の金額が決まります。
● 申告手続き
法人は、各課税事業年度の終了後2か月以内に、『防衛特別法人税確定申告書』を税務署に提出する必要があります。
この申告書には、その年度の課税標準法人税額など必要な事項を記載します。電子申告については、通常の法人税と同様に特例が設けられています。
● 特定親族特別控除の創設
生計を共にする19歳以上23歳未満(いわゆる大学生世代)の親族等が控除対象扶養親族に該当しない場合であっても、『特定親族特別控除』が適用されることになりました。控除額は、合計所得金額が48万円を超え85万円以下で63万円とされており、それ以上の所得については、金額が増えるに伴って段階的に減額されます。
また、中間申告書の提出が義務付けられている法人は、事業年度開始後6か月が経過した日から2か月以内に、『防衛特別法人税中間申告書』を提出しなければなりません。この中間申告書が提出されない場合には、提出期限時点で提出があったものとみなされる仕組みとなっています。
● 適用関係
防衛特別法人税は、令和8年4月1日以降に始まる事業年度から適用されます。
なお、中間申告の提出義務については、令和9年4月1日以降に開始する事業年度からの適用となります。
